お酒の日付

お酒の日付について お話しします。

『琵琶の長寿』に表示されている「製造年月」は、
そのお酒を瓶詰めし、栓を打った年月です。

「製造年月の新しさ」 と 「お酒の美味しさ」 は、
必ずしも 比例しません。

清酒は 瓶詰め直後、一時的に 香味が整わず、
本来の美味しさを発揮できない時期があります。

『琵琶の長寿』は、
瓶詰め後 ―4℃~+15℃に温度設定された 数種の貯蔵庫にて、
数ヶ月から、長いものでは数年間 静かに熟成させ、
香りや旨味が整うのを待ってから出荷している製品が 多くあります。

そのため、お客様の手元に届いた『琵琶の長寿』の製造年月が、
1~2年前のものである可能性もあります。

日付だけを ご覧になると、
「何、この古い酒!?」と びっくりされるかも しれませんが、
新しければ良い、古ければ悪い というものでは、必ずしも ありません。

日付が古いということは、
それだけ長い熟成期間を経て 旨味が乗っている可能性がありますし
(勿論 そうではない可能性もありますが)、

日付が新しいということは、
瓶詰め直後の不安定な時期で、まだ旨味が整っていない可能性もあります
(そうではない可能性もあります)。

 

お酒にとって 大切な事は、
「生まれ」も 勿論ですが、「育ち」です。

仮に 何年も前に生まれた お酒であったとしても、
「育ち」さえ良ければ、すばらしい熟成酒になっていることでしょう。

ここで言う「育ち」とは、
瓶詰め → お客様のお口に入るまで の、
お酒が置かれていた貯蔵環境のことを 申し上げており、

具体的には
○酒蔵における 出荷を待つ蔵内の環境
○酒販店における 在庫・貯蔵環境
○お客様方における ご購入下さってから 召し上がるまでの保存環境
…を 指しています。

お酒をベストな状態で お客様のお口にお届けするには、
この3者のリレーが 上手く なされなければなりません。

 

また あるいは、弊社を 早々に出荷されたはずのお酒が、
酒販店において、熟成を深めて 旨味を増す目的で、
意図的に 長期在庫(というより 熟成貯蔵)されている場合もあり、
結果的に 古い日付のお酒が お客様の手にわたる場合もあります。

『琵琶の長寿』を 取り扱う こだわり酒販店の中には、
「刻は酒を磨く」ことを熟知した上で、理想的な「育ち」環境を実現し、
お酒に磨きをかけている酒販店
もありますので、

お客様の お手元にある『琵琶の長寿』の
製造年月が古く お気になった場合は、
まず、お求めになった酒販店に その経緯を お尋ねなさって下さい。

もちろん その間の「育ち」さえ良ければ、
酒蔵を出荷した時よりも 更に 旨味が増し、
素晴らしい熟成酒として、お喜び頂けることでしょう。

 

ちなみに 弊社には、
昭和年代の大吟醸 や 私より年上の長期熟成酒 さえ 現存します。

育ちが良い これらのお酒は、熟成の深さゆえ 独特のクセもあり、
飲み手を選びます(←万人受けしない、の意)が、

口に含むと、
トロミさえ感じるような まろやかな舌触りと、
和三盆のような上品で細やかな甘味、
それに 香ばしいカラメルや 藁のような香りとコクは、
お酒を 舌の上で珠にして転がしたまま、飲み下すことさえ憚られるような
それはそれは、素晴らしい 一杯になっています。

 

熟成が深まれば、相応に 色が濃くなりますが、
【 色が濃い = 劣化している 】という公式は、必ずしも 成り立ちません。

また、【 日付が古い = 美味しいはずがない 】といった先入観を お持ちにならず、
「もしや 素晴らしい育ちをしてきた1本かもしれない」と、ご期待を持って
召し上がってみてください。

そして、いずれの場合も お客様のお手元での貯蔵環境も また、
美味しさを大きく左右する一因となります
ので、
冷暗所保存(生酒は絶対冷蔵)を、是非とも なさって頂きたいと
お願い申し上げます。

 

『琵琶の長寿』の多くの製品では、
「製造年月」 とは別に、「蔵出年月」 を 併記しております。

例えば、
製造年月 2018.01
蔵出年月 2018.08 …と表記してある場合は、

2018年01月に瓶詰めして 栓をしまして、
それを、2018年08月までの7ヶ月間にわたって定温管理下で熟成させた後、
酒販店に宛てて 蔵から出荷しました、という意味であり、
「蔵出年月」は、酒販店が そのお酒を仕入れた年月に ほぼ相当します。

 

一般的に 清酒には、
「製造年月」が表記されておりますが、
「賞味期限」は表記されていません。

もし、お手元に『琵琶の長寿』(但し、火入酒に限る)が あって、
それを 当分 召し上がるご予定がないのであれば、新聞紙などに 厚く包んで下さい。
温度変化の影響を和らげ、光を防ぐ効果があります。
その上で、なるべく涼しい場所に 静置して下さい。

熟成して 徐々に味わいは変わっていきますが、
数年後でも 美味しい“熟成酒”として お召し上がり頂けると存じます。

生酒ならば この限りではありません。
やはり お早目のお召し上がりを お勧めします。

新酒には 新酒なりの、
熟成酒には 熟成酒なりの 素晴らしさがあります。

「日付の新しさ」 と 「お酒の美味しさ」 は、
必ずしも、比例しません。