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池本の考え

第一回

「 いいお酒、下さい。 」

蔵の店先で 店番をしていて、
いちばん 困る お客様のひとことが これです。

恐れながら申しますが、
基本的に 私は、いいお酒しか造っていないつもりですから、
まぁ この場合、どれをお勧めしても 嘘にはならないのですけれど、

“ いいお酒 ” とは、何でしょう。

【 高いお酒 = いいお酒 】、 …確かに その通りです。
弊社には、一升瓶で 一万円以上もする お酒があります。
『大吟醸 斗瓶囲い』、いいお酒ですよ。

で、そのお客様に お尋ねする訳です。

「どんな風に 召し上がるんですか。」

「いい お魚を貰ったので、お刺身にして、
せっかくだから いいお酒で 飲みたいと思って。」

このお客様は、お刺身に合う お酒を お探しなのでした。
そんな お客様に、危うく 大吟醸を お勧めしてしまうところでした。

大吟醸は、確かに “いいお酒” なのですが、
お酒自体の主張が強すぎて、自らが主役にならなければ気がすまないお酒です。
大吟醸と お刺身を組み合わせると、お刺身が脇役に追いやられ、
お料理が台無しになります。

つまり 大吟醸は(基本的には)、
お料理と合わせて召し上がるべき お酒ではなくて、
お酒単独で、大吟醸のすばらしい香味を楽しんでもらう お酒なのです。
もちろん、“いいお酒” ですよ、大吟醸は。

でも、このお客様の場合は、
お刺身を美味しく召し上がりたい訳でしょう。

つまり 主役は お刺身、
お酒は 脇役に徹して、主役の引き立て役になるべきなのです。

「それなら、この純米酒がお勧めです。」

「いくらなの?」

「2,250円です。」

「安いじゃない。いいお酒 って言ってるのに! (­-_-メ)。」

「………(-_-;)」

“いいお酒” に、絶対的な 決まりは ありません。

組み合わせるメニューや、召し上がるシチュエーション、その方の好みによって、
その都度、お酒に求められる“モノ”は 異なってきます。

“いいお酒” とは ――
時に、香味華やかな大吟醸であり、
時に、味わい落ち着いた 純米酒であり、
時に、ビールや ワインや カクテルでもあり、

あなたが、「美味しい!」と思ったなら、
それが あなたにとっての “いいお酒”なのです。

大吟醸でも、純米酒でも、
難しいことは いいじゃないですか。

ちなみに私は、蔵元なだけあって(かどうか知りませんが)、お酒 大好きです。
一晩で 一升瓶を1本空けることもあるくらい、大好きです。

更に私は、蔵元なだけあって(かどうか知りませんが)、私が ウチのお酒を飲む場合は、「研究開発費」という経費で 飲める訳です。

いいでしょ?^^

一万円超の大吟醸でも、経費で 飲める立場の 私――、
そんな私が 普段 何を飲んでいるか といいますと、
やっぱり「上撰」です。

私にとっての “いいお酒”とは、1,947円の「上撰」なんですね。

なぜかと言いますと、
気を張らずに 気楽に美味しい、からです。

大吟醸とか、テクニカルなお酒を飲むと、それがプライベートであっても、
やっぱり 眉間にシワよせて 利き酒してしまい、仕事を意識してしまう訳です。

また 香り高い大吟醸は、2~3杯は美味しいのですが、
5杯、6杯と、飲み進むうちに だんだんと その香り高さが鼻について、
なぁんか、気になってくるのです。

一晩に少量しか召し上がらない方なら いざ知らず、
私のように酒が好きな者にとっては、
量 飲んでも 当たり障りない お酒 ――上撰―― こそが、“いいお酒”なのです。

(ちなみに 経費ではなく、ちゃんとお金を払って買っています。)

誤解を恐れずに極論しますとね、
大吟醸とか 本醸造とか、
純米とか アル添とか、
高いとか 安いとか、 …難しいことは いいのですよ。

誰が何と言おうと、
あなたが、それを美味しいと思ったのなら、
それが、あなたにとっての “いいお酒” なのです。

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